· 

秒刻みで動く男

「分刻みのスケジュール」などと言うが、私などは「秒刻み」で動いている。

 

最寄りの駅で仕事に間に合う電車に乗れるかどうかは、現在の時間が

 

「7時19分5秒」

 

なのか

 

「7時19分48秒」

 

なのかでは致命的な差になるのだ。

 

駅手前の交差点の信号を遠くから見ながら、ダッシュして渡るか、あきらめて体力を温存してその次に備えるか、も「秒単位」での状況判断になる。

 

駅まで移動してる最中の時間は細目にチェックしたいところだが、スマホ画面をいちいち立ち上げるのは大変だし、ガラケーをポケットから出していちいち開くのも面倒だ。

わたしのガラケーは開かなくても表側の小さなディスプレイに時刻は出るのだが、日中の陽にあたるとほぼ見えないし、いずれにせよ単位は「分」までだ。

しかも、ダッシュしながらガラケーで時間を確認して、本体を落とすことも度々、わたしのガラケーは傷だらけで、いつ壊れるか大変心配である。

 

こんな具合に大変困っていたのだが、世の中にはスマホやガラケーの時間を示す機能のみに特化し、しかもベルトで手首に固定できる「腕時計」と呼ばれる便利なものがあることを知った。

 

早速私の過酷なスケジュールや厳しい使用条件に合うものを探した。

 

そして、LEDバックライトを搭載した世界的な腕時計の名器「カシオ・スタンダード」を見つけ出し、豊富な資金源から予算案として提出した1000円札1枚と500円玉一枚が支給され、無事に私の活動を支えるアイテムとして導入されたのであった。

 

驚くべきことにこの実売価格1500円ほどの腕時計には「アラーム機能」までついているのだ!

これで私がレッスン中に熟睡したとしても、決まった時間にアラームが鳴ってレッスンを終了することが出来る。

 

さて、世の中には携帯電話を送受信する装置と受話器に分けて有線でつないだ「固定電話」というものがあるらしい。その固定電話とやらが携帯できるようになれば、私がガラケーを落とすこともいよいよなくなるだろう。楽しみである。