老眼狂騒曲 その1

「最近、本を読んでもなんだかすぐ疲れて読む気もしないし、爪を切ることさえも億劫になってしまって…もしかして鬱病かしら?」

 

…なんて相談を妙齢の女性からされるならともかく、私のような中年のおじさんからは誰も聞きたくないだろう。

 

ということで成増までクルマを飛ばし、同じ中年のおじさんであるギタリストの幸塚淑夫こと下赤塚センパイに相談した。

 

センパイは中華料理店「西遊記」の青椒肉絲を頬張りながら黙って話を聞いていたが、おもむろにテーブルの上に見慣れない割引券を置いてこう言った。

「キンちゃん、そろそろ老眼鏡を作りなさい。今月いっぱいまで500円の割引券あげっから。」

 

それから数日が経ち、割引券の有効期限である本日3月31日に、いよいよ重い腰を上げて老眼鏡を作りに行ったのであった。(続く)→その2